森博嗣 / すべてがFになる
1.作品を選んだ理由
本屋で「あっ、名前は良く知ってるやつだ」と思い、手に取ってみるとどうもミステリー作品らしいので買ってみた。
2.内容
もともとは1995年に書かれた作品で、こちらは1998年の講談社文庫版。作者自身が名古屋大学 工学部の助教授ということで、コンピュータサイエンスや数字・数学に取り囲まれた世界観。とはいえ舞台は孤島のハイテク研究所ということで、ある種ミステリーのフォーマットとも言える環境。S&Mシリーズと言われる(S:犀川、M:萌の2人組ということか)連作のうち第一作目で、本作にてメフィスト賞を受賞している。
ミステリー部分と「F」の謎はふむふむと思いながら読んだ。「F」に対する予想は部分的に当たったが、当然トリックには思い至らず。基本的には簡素な文体で進んでいくのだが、ドラマが動く場面で現れる臨場感ある鮮やかな描写とのギャップが合って良かった。そうだね、ホラーさや凄惨さというのはそこまで強くなく、ドラマティックという印象の方が強いかな。
舞台設定の環境面でいうと、どうなんだろう、1995年当時のインターネット環境ってこんな感じ?という違和感はあったんだが。市井のネットカフェにあるような有象無象のPCから、大学や研究所のシステムにリモートアクセスできるというのは結構な疑問…しかもTelnetで…。まぁそれをいうと、15年近くも施設に閉じ込められたままの教授や怪しい研究所だっておかしな話だし、天才性や動機も微妙に腑に落ちない感はあったんだけど。まぁそういうものかと。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
長大な計画だなぁ。
4.どのような人に推奨するか
ミステリー且つコンピュータサイエンス好きにいいのでは?きっと「F」が何であるかもわかると思いますぞ。