ドストエフスキー / 罪と罰
- 作者:ドストエフスキー
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/06/09
- メディア: 文庫
- 作者:ドストエフスキー
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/06/09
- メディア: 文庫
ドストエフスキー / 罪と罰 のレビューです。上下巻まとめてレビュー。
1.作品を選んだ理由
『地下室の手記』で面白さに気づいたドストエフスキーの長編にチャレンジ。
2.内容
1987年の新潮文庫版。ちょっと古いけどいまだにこれが店頭に置いてあるので、ベーシックな翻訳なんだろうか。原作は1866年に雑誌「ロシア報知」という連載されていたもの。ギャンブルで金に困ったドストエフスキーがどーにかひねり出した作品がこれだっていうんだから、いやはや。
ストーリーの話はしても仕方ないが、これだけの古典にネタバレも何もないので言っておくと主人公ラスコーリニコフが高利貸しの婆さん(と、ついでにその妹。こっちは目的外)を殺害し、その結果と罪の意識に悩みぬくという話。これだけなら文庫の裏表紙にも書いてあるのでいいだろう。上下巻で全部で1,100ページくらいあって、かなり読むのにエネルギーを要する。特に序盤は人物名も人間関係もわからないので、相当に苦労する。ネタバレになるから事前に相関図や人物紹介などのWebページは見ずに読んでた。そこを抜けさえすれば、登場人物や場面自体は意外と少ないのと、話の筋自体がそんなに難しいわけではないため、結構一気呵成に読める。ちなみに自分がそれを抜けたと思ったのは第3章に入る頃…400ぺージほど読んだ後。まぁパワーが尽きるようならテキトーに読んでも問題ない。何ページか飛ばしても同じ話をしていたりする。
Wikiにも書いてあったけど、思想小説・(犯人が判っているタイプの)推理小説、そして少々の恋愛(痴話)小説としての要素をそれぞれ持っている。ポルフィーリィとの対決や(推理小説)、恋愛小説(ソーニャとの親交、妹を狙うピョートル・ペトローヴィチ・ルージン君の小物ムーブ)の要素もまぁ面白くはあるけど、やっぱり面白いのは主要人物が思索していたり言い合いをしていたりする、人間関係の場面だったりする。あと、『地下室の手記』にもみられた皮肉っぽい笑いの要素は健在。知人たちがラスコーリニコフの目の前で殺人事件の動機や犯人について語る中、気まずい思いをして思わず顔を背け、ひたすら壁のシミを数えてしまうラスコーリニコフ君なんて、ちょっと笑えてしまいませんか?そういう点もおもしろいよね。
下巻に入る頃には大分人間関係もわかってきたので、あとは先が楽しみでずっと読んでた。
長編は中断しながら読まざるを得ないので、やっぱり新潮文庫でスピンが付いているのは助かった。。あと、解説は下巻にしかないから気を付けてね(上巻は小説のみ)。まぁネタバレになっちゃうから仕方ないね。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
まぁ名作というか、おもしろい作品ですわね。読んでよかった。他の訳も読んでみたいね。
4.どのような人に推奨するか
うーん、誰にとか何が好きな人にとかとは言いづらい。でもおもしろいよ。