中村 邦生 / 推薦文、作家による作家の
中村 邦生 / 推薦文、作家による作家の のレビューです。
1.作品を選んだ理由
「なんか借りてきて」といったら、妻が図書館で借りてきてくれた。
2.内容
2018年、風濤社から(どこのレーベルだろ?)。ソフトカバーの単行本で300ページほどの厚さ。結構デカい。
内容は、ある作家の全集が刊行される際に他作家から寄せられた推薦文のコンピレーション本というものです。面白い切り口!全集が出されるくらいだからそれなりの著作がある作家が対象だし、これに寄稿する作家もまたそれなりの著作を持つか、あるいは関係性を持った作家である。短い推薦文の中にも作家の個性が見えるし、切り口も様々。弟子が師匠を褒めたたえるような礼賛文もあれば、作者と寄稿者の個人的な思い出にフォーカスした文章で「作者自身」を描写する文もあれば、皮肉っぽい紹介文もある。
以下、ぱっと見て気に入った(というか作品を読みたいな、と思った)推薦文。
・ゴーゴリ(薦:丸谷才一) ゴーゴリは読んではいけないらしい…なので、読みたくなった。
・中里介山(薦:武田泰淳) 人間とはかくも非人間的なまでになまぐさいものであるか…
・プルースト(薦:中村真一郎) とにかく『失われた時を求めて』を読もうと思った。
・筒井康隆(薦:糸井重里) 就活の面接で筒井康隆が好きと聞かれたら…なんとも重里っぽくて良い。
・山本周五郎(薦:開高健) 鷹揚でゆったりとした紹介でいいなあ。
作家の個人的な思い出シリーズよりも、作品そのものに言及してくれている方が好きかな。とにかく「この作家の作品を読みたい」と思えたということは、推薦文としての効用があったということだ。全集は買わないまでも、なんかしら読んでみようと思う。
1~2ページで全集1冊の推薦文が載っていて、余白も多いので案外すぐ読み終わる。というか通しで読むような本というよりは、好きな作者好きなページから読むお手軽な本です。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
面白かった。知らない作家への入り口にもなった。
4.どのような人に推奨するか
作家が作家をどう紹介するか、その短い文章に含まれたセンスや思い入れを読んでみたい人。あなたにとっても、知らない作家の入口になってくれるかもしれないよ(本書に採用されている全作家の全作品知ってる人なんかきっと殆どいないだろう…)