めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。

ジュール・シュペルヴィエル / 海に住む少女

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

ジュール・シュペルヴィエル / 海に住む少女 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 妻の書庫から。

2.内容

 2006年に光文社古典新訳文庫から刊行された短編集。作者のことは全然知らなかったが、ウルグアイモンテビデオ出身で、フランス語で作品を書いている詩人・小説家とのこと。
 なんというか、「生死を行き交う幻想文学」といった印象だった。これは翻訳の文体による部分が大きいと思うが、寓話的なお話に感じられる(所謂、ですます調の文体で童話っぽく翻訳されている)。誰からも認識されず一人海に住む少女の話、イエスの誕生を見守る飼い葉おけの牛とロバの話、母のために牛乳を運ぶ青年の話(これはたったの3ページしかないショートショート)など…唐突に始まる変わった世界観、ちょっとした皮肉や笑いを含んだ捻りを感じる修飾表現に感動してしまった。SF的というか、自分は藤子・F・不二夫を想起しました。F好き。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 他の作品や旧訳(堀口大学訳などがあるらしい)も是非読んでみたい。

4.どのような人に推奨するか

 ちょっとSF的で感情を揺さぶる短編集を読みたい人へ。