めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

ルイス・キャロル / 鏡の国のアリス

ルイス・キャロル / 鏡の国のアリス のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 『不思議の国のアリス』と同様に、横浜そごう美術館の展示に行ったときに買いました。

2.内容

 1865年『不思議の国のアリス』の6年後に刊行された続編。本書は前回紹介した『不思議の国のアリス』と同じく角川文庫から2010年にリリースされた河合祥一郎の訳本。

 鏡の中の世界で繰り広げられるチェス盤上の舞台劇。チェスをモチーフにしているということを初めて知った。登場人物だけでなく、駒の動きやプロモーション(ポーンがクイーンに昇格すること、終盤アリスは戴冠し女王となる)といったルールや手番まで取り入れられているという。前作以上に押韻の激しい詩文や言葉遊び・数字遊びが散りばめられている。英語の授業で昔出てきた「ハンプティダンプティ」とかばん語(2つ以上の言葉をくっつけて作られる新しい言葉)もここで登場。英語で書かれたこれらの言葉遊びを日本語に雰囲気を残しながら翻訳するのは大変な労力だと思うが、この訳者は実に良くやっている。巻末の解説も含め、非常によい一冊です。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 お話だけなら『不思議の国』の方が好きだけどね。

4.どのような人に推奨するか

 『不思議の国』同様、丁寧ないい訳本。漢字のフリガナも優しく小学生くらいでも読めるので、お勧めです。