めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Besatt / Anticross

Anticross [Explicit]

Anticross [Explicit]

ポーランドブラックメタルバンドBesatt / Anticrossをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 先日5thを書いた流れで、この10作目を購入したので。

2.内容

 2017年リリースの10thアルバム。元はWarherat Recordsからのリリースだが、アジア圏はZero Dimentional Recordが配給を担当している(ブックレットにっちゃんと書いてある)。手持ちのものもゼロ次元のもの。帯はついているが、特に解説とか対訳はないよ。安いし日本で配給してくれるだけで充分です。

 ポーランドブラックメタルです。前記事の5thから10年ほど経過しての10th。間の作品でどのような経過をたどっているか知らないので、5thとの比較しかできないが、一聴して曲のドラマチシズムとリフのバリエーションが増しているように感じる。怪しいメロディを紡ぐトレモロリフ、不協和音コードによる不穏な雰囲気、クリーンアルペジオ等の要素要素はそのままに、それぞれがレベルアップして個性を放っているというか。あと単純にメロディを感じるパートが増えているように思いますね。壮大な雰囲気を感じさせるエピックなリフや、とってもメロディアスなギターソロなんかも出てきます。ギターソロが増えたのは大きな変化だね。もちろんツービートやブラストビートで疾走するパートもあるんだけど、その上に乗るリフは低音かき鳴らし一辺倒ではなく、いちいち抒情性があるのだ。#4 "Battle"なんかはこれらの要素が顕著に出ていてよろしい。#6 "Hellish Circles"では朗々と歌うコーラスも聞けるぞ。
 サウンドもより分厚くプロフェッショナルになっており、B級感は感じられない。壮大さと抒情性が印象に残るアルバム。これは良いと思います。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 抒情的なメロディに溢れた良質なブラックメタル

4.どのような人に推奨するか

 このバンド、結構比較対象出すのが難しくないですか?Ulver 1st、Winterfyllethあたりを少しファストでブルータルな方向性に寄せた感じかなぁ。