めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Fleshgod Apocalypse / Agony

Agony

Agony

カナダのブラック/デスメタルバンドFleshgod Apocalypse / Agonyをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 最近めっちゃ好きで、とりあえず最新作までは揃えたぞ。この2ndが初聴。なお、1stとEP(Mafia)は持っていない模様。同郷のHour of Penanceが超高品質・超高速のブルータルデスメタルだったのと、メンバにも関連性があるということで気になっていたのだ。

2.内容

 2011年リリースの2ndフルで、Nuclear Blastからリリース。ボーナストラックにCarcassの"Heartwork"が入っているバージョンもあるらしいが、手持ちには入ってない。

 一言でいえば、ストリングスやピアノを中心としたオーケストレーションが全編に渡って満載の超高速ブルータルデスメタル。パッと思いつく類似バンドはブラックメタル界隈だけど、Anorexia NervosaやDimmu Borgirなどのバンド。ストリングスが紡ぐ旋律は、前者は「退廃」、後者は「荘厳」と言ったような言葉が思いつくのだが、本作については「悲歌(Lament)」という表現が当てはまるような気がする。半音階をふんだんに用いたメロディとコード進行は泣きに溢れている。
 ギターリフはドラムに合わせて地面を蠢いており、オーケストラyやピアノのメロディが支配的なこともあり、正直印象に残るものは少ない。コード感の表出やメロディックで華麗なギターソロで活躍しているがね。デスヴォイスに加えて、Paolo Rossi<ba, vo>の細い高音ヴォイスによるクリーンメロディが楽曲にアクセントをつける(本当にハイトーンなので、そこだけパワーメタルみたい)。そして、これだけ豪華絢爛にオーケストレーションを配しながらも、ドラムは手数が多く容赦ない硬質な音でひたすら高速ブラストビートを続けていて、そこがイイ。曲の良さと抜群のパワーと安定感、クリア極まりないサウンドにより、とにかく気持ちよく聞ける。バンドのブレインであるFrancesco Paoli<dr, gt>は天才やな…。Hour of Penanceの時もそういう印象を抱いたが 、イタリアの16th Cellar Studioってそんなにいいところなんだろうか?すごく音いいよね。

 このアルバムは曲間がなく気づくと別の曲に移っているのだが、最初はどの曲も高速で曲が変わったことの区別もつかないレベルだが、各楽曲は骨組み自体は結構シンプルなので、構成要素とメロディーを覚えてしまえば普通に区別がついて楽しめる。まぁでも金太郎飴と揶揄されるのもわかる。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 シンフォニックで、昂揚する泣きメロがいっぱいで、ブルータルで、ハイトーンもあってと、強い要素全部入り的なデスメタル

4.どのような人に推奨するか

 以後のアルバムは作曲力やシンフォニー度は向上するがブルータル度は下がっていくので、シンフォニックな中でもとにかく速くて勢いがあるサウンドが好きな人はこのアルバムがいいんじゃないでしょうか。