めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

川上和人 / 鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

川上和人 / 鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 妻が図書館で借りてきたのをおススメされたのである。

2.内容

 2017年に新潮社からリリースのソフトカバー本。著者は鳥類学者の川上和人…もとい、子ども科学電話相談で有名な"バード川上"らしいですよ。

 元は雑誌「新潮45」に連載されていたのかな?小笠原諸島での現地調査だったり研究発表だったりの鳥類研究をテーマにしたエッセイ集であるのだが、その語り口があまりに面白い。語られる内容そのものはまさしく研究そのもので、専門に対する深い見識が伺える。一方、語彙に富んだ面白おかしい文体は一昔前(90年代末~2000年前半くらい)にあった所謂テキストサイトを彷彿とさせるし、端々に挟まれる漫画・アニメネタは非常にギークっぽくもある。
 最初の前書きを読んで、「あぁ、この人は面白い人なんだな」と思った。   

あなたには、鳥類学者の友人はおられるだろうか。多くの方にとって、答えは否だろう。原因の半分は、鳥類学者がシャイで友達作りが下手だからだ。残りの半分は、人数が少ないからである。

 終始こんな調子なので、学術研究としての内容を期待しては…まぁこの表紙とタイトルでそんな期待をする人はいないと思うけど、期待せずに楽しく読めるエッセイだと思ってください。研究者でありながらユーモアいっぱいで文才あります。でも、小笠原諸島やそこに住む固有種のことや、ウグイス(亜種)とハシナガウグイス(基本種)の違いのことなどもちゃんと知れるよ!

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 面白い。他の作品も読んでみたい。

4.どのような人に推奨するか

 先に引用したような調子に楽しみ親しみを覚える人には、とてもおススメな楽しいエッセイ集。