めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Incantation / Dirges of Elysium

Dirges of Elysium

Dirges of Elysium

アメリカのデスメタルバンドIncantationのDirges of Elysiumをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Incantationを集めの一環。後追いです。

2.内容

 2014年リリースの10th。毎回変わらず安定のデスメタル。このバンドは地味だがリフと曲に非常にまがまがしい雰囲気が合って良い。どのアルバムも安定して素晴らしい。ジャケットも、ゴアではない絵画的な怖さで非常によろしい。

 音質はクリアで何の問題もなし(Edge of Sanity他のDan Swanoによるミックスであるようだ)。オールドスクールっぽく湿ってムチムチした太めのギターが不穏で暗いリフを紡ぎ、スローとブラストを行き来する展開は相変わらず。ブラストと言ってもいわゆるブルータルデス勢のようにクソ速いブラストではなく、ツービートの正統進化のようなリズムを感じられるブラストなのである。

 このアルバムの特徴としては、それが割と極端に表れている部分だろうか。前半の曲はのっけからハイスピードなブラストビートでドロドロしたリフを刻む曲が多く、ランニングタイムも短めになっている(2分の曲など)。一方で、物凄くテンポを落としたドゥームデスが印象的な部分もあり。特にアルバムラスト曲は16分を超える大曲では、ほぼ全編をスローテンポで雰囲気たっぷりに進んでいく。アルバムトータルでは10曲50分とそんなに長くない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 形容詞のいらないデスメタル。安定している。前半に早い曲が並んでるからか、ちょっと他のアルバムとは違う印象を持つ。これも愛聴できそう。

4.どのような人に推奨するか

 勢いやブルータルさより、雰囲気とリフ・曲がよいデスメタルを聞きたい方へ。このバンドは「純粋なデスメタルってどういうもの?」って言う人に聞かせたいですね。