めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

山口路子 / ココ・シャネルという生き方

ココ・シャネルという生き方 (新人物文庫 や 1-1)

ココ・シャネルという生き方 (新人物文庫 や 1-1)

山口路子 / ココ・シャネルという生き方 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 タイトル買い。

2.内容

 2009年、新人物文庫からのリリース。作者は知らなかったが、美術・世界史畑の方であるらしい。フランス・パリにてブランド「CHANEL」を大成したココ・シャネルの人生を追う、個人にフォーカスした書物。生没を網羅した所謂伝記ではあるのだが、歴史書や専門書的な性格は持たない。構成上のポイントは、ストーリーの合間にシャネル自身の言葉を頻繁に引用し、ストーリーそのものよりも彼女のメッセージを届けようとしている点にある。
 サブタイトルにもある「彼女はなぜウェディングドレスを拒んだのか?」を基軸として、(おそらく研究的な意味でも不可分だからだとは思うが)シャネルが交友を深めた男性陣との関係性などにも大いに踏み込む。一方で、自分はどちらかというと歴史と絡めた時代背景だったり関連知識を知りたかったが、その点は軽く触れられる程度かしらというところ。いい悪いは置いといて、「著者の書きたいこと」を選択した結果なのだろうと思う。
 幕間にコラムや写真がふんだんに使われているのは、評価点。段組や写真、セリフ引用等の点から200ページ近くある本編だがボリューム的にはあっさり目に感じられる。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 多分作品のスタイルが自分の需要に一致しなかった。香水『No.5』の由来や、世界大戦とブランドの関連あたりが個人的には印象に残っている。

4.どのような人に推奨するか

 個人的には合わないスタイルだったが、シャネルを知るきっかけとしては悪いものではない。もう一段、歴史側に踏み込んだ伝記も読んでみたい。