めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Sarcófago / I.N.R.I

I.N.R.I.

I.N.R.I.

ブラジルのブラック/スラッシュ/デスメタルバンド SarcófagoのI.N.R.Iをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 ブラックスラッシュ・ベスチャルブラックを聞く流れで源流として到達。多分皆そうだと思いますが、私はこの1stから聞き始めた。

2.内容

 1987年1stフル。手持ちのはGreyhaze Recordsからリマスター再発リリース。I.N.R.Iとは一般的にキリスト架刑時の文章として添えられ『ナザレのイエスユダヤの王』を意味する。ジャケットの無頼ぶりがカッコよすぎ。手持ちのものは2012年再発版と思われる(デジパックではないやつ)。本編である#1-#9の他、1986年のデモ"Black Vomit"から3曲、ライブ音源から3曲が収録されている。
 楽曲の方は、初期Sodom風の低音刻みリフや高速トレモロパワーコードリフを中心に、D.D.Crazy[Dr]のブラストビートとWagner Antichrist[Vo]のデスヴォイスが冴え渡る、ほぼデスメタルな内容。1987年という時期からするとドラムは特にスゴく、一般的なツービート・スラッシュビートはほぼ顔を出さず、高速ブラストビートとフィルイン・テンポチェンジで構成されている。前のめりな演奏も相まって偶に拍子が判らなくなるが、リフや楽曲は聞きやすく聞かせ所がそこかしこに配備されているため楽曲の魅力度は高いといえるであろう。後期作品では楽曲がよりデスメタルっぽくなり複雑さを増すが、その萌芽がすでに見て取れる部分もある。
 デモよりもギターのサウンドがヘヴィかつ鋭くなっているのと、エフェクトも効かせた低音デスヴォイスが特徴。デモ版の"Satanas"はやっぱりハイトーンシャウトがばっちりキマっており、演奏も本編より性急でテンションが高い。やっぱこれだよ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 1987年にこんな音楽やっていて、アルバムリリースできている事実もスゴイ。ジャケットのメンバー写真や、コープスペイントの始祖となりMayhem等の北欧ブラック勢にも影響を与えたという伝説的な面も含めて、文句なしの名作。

4.どのような人に推奨するか

 スラッシュ・デスメタル等のエクストリームな音楽が好きな人は是非聞いていただきたい。今から入手するなら大体ボーナストラックはついてくると思うが、是非ボーナス付きを手に入れていただきたい。前述の通り、ボーナストラックの演奏も本編とは違った、本編以上の魅力があります。