めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Sarcófago / Die...Hard

Die Hard

Die Hard

ブラジルのブラック/スラッシュ/デスメタルバンド SarcófagoのDie...Hardをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 2016年位から所謂ベスチャルブラックを聞くようになっていたが、しばらくSarcófagoは聞いていなかった(後回しにしていた)。2017年初頭、ディスクユニオンで見かけたI.N.R.Iを買ったところ、えらくカッコよくて感動したのだが、折よくデモ集である本作が出ていたので喜々として購入したのだ…。

2.内容

 2015年Greyhaze Recordsからのリリースで、初期のデモ作品をまとめたコンピレーション盤。調べればわかる情報ではあるが、以下に出展をまとめておく。

  • #1~#8
     1985年に録音された未リリースのデモ。"Satanas"、"Nightmare"、"Third Slaughter(1stでは"Last Slaughter")"といった名曲を2バージョン収録。
  • #9-#12
     1986年にリリースされたデモ "Satanic Lust"から。曲目は前項と同様。
  • #13
     コンピレーション盤 "Warfare Noise I"の時のアウトテイク。
  • #14
     1st収録"I.N.R.I" のリハーサル音源。
  • #15-#17
     1987年リリースのデモ "Christ's Death"から。1stアルバム出た後なのに、なぜ収録曲のデモを?
  • #18
     後にEP "Rotting"に収録される"Alcoholic Coma"のリハーサル版。
  • #19
     後に2nd "The Laws of Scourge"に収録される"Secrets of a Widow"のリハーサル版。
  • #20
     4th "The Worst"時のアウトテイク。

 聴きどころは前半のデモ集。楽曲自体はほぼ完成していて構成上1stアルバムとの違いは余りないと思う。演奏も音圧も軽いのに、若々しさと前のめりなエネルギーがとても魅力的。1stアルバムの方が速さや安定感、ヴォーカルのドスの強さなど品質面で勝っているだろうが、何度も聞き返してしまうのはこっちのデモ盤だったりする。
 もっとも違うのはWagner Antichrist[Vo,Gt]氏のボーカルで、まだ深みの少ない吐き捨てヴォイスと、素っ頓狂なハイトーンシャウトが個人的にかなりツボにハマる。"Satanas"などは1stアルバムでは、イントロや楽曲ラストの『セイタ↑↑↑ナァーァーーーース!』でのハイトーンシャウトがないので物足りないのですよ。。。その他の楽曲もデモの方がハイトーンシャウトが聞けて嬉しい。
 装丁もデジパック仕様で綺麗。メンバーのコープスペイント・レザージャケット・ガンベルト3点セットがキマった写真も異様にカッコよく見えるから不思議だ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 音質はデモレベル。楽曲と演奏はテンション高くて最高です。

4.どのような人に推奨するか

 たいていの人は1st "I.N.R.I"から入ると思うのだが、気に入った人は是非これも聴いてみてほしい。私はむしろこのデモ集聞いてから更に1stを(というかSarcofago)を好きになったし、何ならこの作品を一番聞いている。