めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

栗山恭直,東京エレクトロン / 世界でいちばん素敵な元素の教室

世界でいちばん素敵な教室シリーズより、『世界でいちばん素敵な元素の教室』のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 最初に本屋で見たのがこの『元素』だったのだが、ようやく買ったぞ。

2.内容

 2017年、三才ブックスの世界でいちばん素敵な教室シリーズ。今回は元素ということで、全118元素を美麗な写真やカワイイイラストで紹介してくれている。

 元素番号順の紹介となっており、発見年・原子量・融沸点・密度等のパラメータに加え、名前の由来や発見時のエピソード、素朴な疑問への回答などの付加情報、そして綺麗な写真をつけてお届けしている。常温で固体のもの(鉱物・金属類)は単体で写真に収められているケースが多いが、そうでないものは、元素を含む化合物や、元素が含まれる一般的な物体(バナジウム⇒ベニテングダケにあるらしい)などの写真があったりする。

 個人的には名前の由来が凄く楽しい。どれも名付けに捻りや発見までの紆余曲折が見えておもしろいのだが、一番オシャレなのは、16族原子番号34番「セレン」の由来。元素周期表で同じ16族に属する、原子番号52番のテルル(ラテン語で「地球」)の上にあるから、月の女神であるセレンの名を冠するという異常なオサレぶり。こういうエピソードめっちゃ好き。

 内容的には原子番号30番くらいまでで本の半分くらいを占める。後半100番台くらいからは人工元素が多くて、あまり日常でのエピソードがないからか、1ページに3~4元素がまとめて紹介されている。逆に若い番号の元素は写真の扱いも大きい。毎ページ元素周期表が載っていて、「この元素は周期表のココ」が判るのは地味に嬉しい構成。周期表ってよくできてるなー。

 学問として学ぶことに特化した本ではない。化学式や専門用語は出てこないし、特段情報量が多いというわけではない。ただし、ページ間に挿入された情報(元素とは何か、陽子・中性子・電子、元素周期表、貴ガス、アルカリ金属などの説明)で基本的なところは抑えているし、「まったく知らない方でも大丈夫」のコンセプトなのでバッチリOK。とはいえ、本書に書いてあること全部覚えてたら、その人は結構スゴイと思うけど…。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 良本。もう一段踏み込んだ元素の本も読みたくなってくるね。

4.どのような人に推奨するか

 元素に入門したい人(っているのか?)。文章量も少なめで、綺麗な写真と併せて気軽に読めるので、理科嫌いの人にも楽しめると思うがいかがかな。