めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Deiphago / I, The Devil

I. The Devil

I. The Devil

フィリピン出身(活動拠点はコスタリカ)のブラック/ベスチャルメタルバンド DeiphagoのI, The Devilをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 ディスクユニオン新宿店でディスプレイされており、あのDeiphagoの新作ということで購入。当初買う気はなかったんだけど、この手のジャンルは多分入荷自体少ないから、入手可能な時に入手しておかないとなぁと思った次第。

2.内容

 Hells Headbangers Recordsから2019年リリースの5thフル。Sidapa[Gt]、Voltaire 666[Vo]はそのままに、ドラムが新メンバーになっている。挑発・サングラス・レザージャケット・ガンベルト二重たすき掛けの容貌は相変わらず!スペシャルサンクス欄…Deiphago的には「悪魔の敬礼(Satanic Salutes)」…には、2016年に夭逝したBlack WitcheryのTregenda氏にこのアルバムを捧げるとの記載あり。仲良かったのかな。アルバムタイトルは『ワイ、悪魔』。

 一聴して思ったことは、「Deiphagoなのに、各楽器が何を演奏しているか聞こえる」。
 やっている音楽は基本的に同じ。パワーコード主体でメロディのない低音リフを繰り出すギター、激しく歪んだ太い音で低音の圧力を出すベース、なんだかよくわからないがとりあえず突撃ブラストビートをしているドラム、怒気を孕んだ吐き捨て系のデスヴォイス。多分録音とミックスの効果だと思うが、各楽器音の分離が良くなっている(あくまでDeiphago比ね)。これまでだったらブラストしたら他の音はスネアとシンバルにかき消されていたようなところが、バランスよく聞こえてくるので、音質面では単純に聞きやすくなったと言っていいんじゃないだろうか。
   突拍子もなく崩壊的な曲展開とバカみたいに高いテンションは基本的に踏襲しつつも、ミドルパートの頻度上昇やドラムの速度低下により、ややスピード感が低下したようにも感じる。少なくとも、2nd "Philipino Antichrist"なんかは本気でノイズの塊と形容せざるを得ないサウンドだったので、それと比較した場合の話。ただ、これは音質が向上したから、均整が取れてそう聞こえているだけかもしれないし、「落ち着いてしまった」わけでは全くないので、そこはご安心ください。最後の楽曲 #8 "I, The Devil"のエンディングなんかの暴虐ぶりは凄まじい!

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 総じて良いと思う!

4.どのような人に推奨するか

 グラインドコアにも通じるメロディ不要の突撃サウンドが聞きたいエクストリームメタラーにおススメ。近いバンドはRevenge/Conquerorかしらと思う。