めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

池井戸潤 / オレたちバブル入行組

 

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

 

池井戸潤 / オレたちバブル入行組 のレビューです。

 

1.作品を選んだ理由

 半沢直樹シリーズの原作ということと、銀行をテーマにした小説ということで。なお、TBSのドラマは当時見ていません。

 

2.あらすじ(内容)

 2007年の作品。大手銀行(今でいうとメガバンクになっているような)に入社し、融資課長を担当する半沢直樹。支店長が無理に取り付けた融資の貸出先が倒産し、その責を負わされる半沢。融資の背景を探り出し、黒幕を突き止め債権回収を目指す。

 一言でいって銀行エンターテインメント小説。半沢が追い込まれる様、調査の過程、逆転劇のすべてがまさにドラマという感じで、非常に楽しく読める。黒幕をやりこめる時のカタルシスも素晴らしい。映像版も面白かったんだろうな。

 作者は嘗て銀行に勤めていた経歴があり、ここで描写されている組織風景は非常にリアリティがあるという。私は銀行員ではないのだが、従事している仕事は銀行と関係あるのでその組織的な風土というのは肌感覚としてちょっとわかる気がする。

  

3.感想/評価

 ★★★★★

 これは売れますわ。恋愛小説とか青春小説は余り好きではないけど、こういう企業エンタメは面白いね。個人的には、かつて住んでいた大阪の地名が頻繁に出てくるのと、くどくない程度に銀行用語の説明・解説を入れてくれる優しい作りも良かった。

  

4.どのような人に推奨するか

 いわゆる日本の企業に所属してサラリーマンやってる人、特に30代中堅以上におススメかな。例えばこれを自分が中学生の時に読んで面白かったかというと、それは微妙な気がする。自身の体験と少しでも重なったり共感したりする部分があるからこその楽しさなのかもしれない。